戦争と眼科 | 柳津あおやま眼科クリニック

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戦争と眼科

更新日:2017年10月03日

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眼科は、内科のように、対象とする部位によって専門が細分化されています。

その中でも比較的、マイナー、というか、多くの眼科医にとってとっつきにくいのが、神経眼科と呼ばれる領域でしす。

眼科疾患の多くは、白内障のように見れば水晶体の濁りがあるのが明らか、というような、目で見て明らかで、手術すれば濁りは取れる、問題の発見および解決方法が明確な、外科的な部分があるのですが、神経眼科に関しては正反対で、その多くは目で直接確認できない神経系統のどこかに原因があり、起こっている現象から原因を推察して、検査によって突き止めていく、という、考えながら解決していくようなことが多く、かつ、対象とする疾患もとてもマイナーなものだったりします。

神経眼科学会に所属しているので、定期的に、専門雑誌が届きます。

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神経眼科学会の雑誌の最新号で興味深かったのが、1909年の井上先生(御茶ノ水の井上眼科の3代目院長)の原典を紹介した愛知淑徳大学の大庭先生(前鹿児島大学教授)の文献。

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時代的に、ちょうど日露戦争の後なのですが、日露戦争で後頭部を撃たれて損傷した兵士の損傷部位と視野の関係を検討しています。

後頭部には視覚野といって、視覚情報を処理する重要な場所があり、そこや、そこまでの経路が何らかの原因で障害されると、視覚障害がおこります。

今にしてみれば、この視野の欠損であれば、ここが障害されているだろう、という推測ができるのですが、その推測ができるのも、過去のこうした研究があったおかげであるとも言えます。

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日露戦争の頃の日本軍は布製の帽子、ですから、弾丸は容易に頭部を貫通していました。

英国も写真右側Bのa、後頭部が露出しているタイプなので、同時代の英国でも同様の研究があります。

現代ではヘルメットの形状も変わっていますし、また、弾丸もより破壊力をましていますから、弾丸の頭部の貫通で生存していることも起こりにくいと思いますが、とても興味深い研究でした。

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今日は午後の白内障手術のあと、時間があったので数キロ、近所を走りました。

白内障手術そのものはご高齢の方の難しい症例もあったのですが、全例、無事終了しました。

先日の硝子体手術講習会で学んだことを応用してみたり、以前と比較して、全体的に流れがスムーズになっているおかげで、同じ件数でも早く終わるようになりました。

走りの方は、日差しは強かったものの、やや冷たい風が心地よく、外を走るのには良い季節になってきました。