治療の今後雑感 | 柳津あおやま眼科クリニック

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治療の今後雑感

更新日:2021年03月10日

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本日の外来、手術とも無事に終了しました。

今日は内眼手術はなし、レーシック4件、その他のレーザー治療やヒアルロン酸注射など。

手術学会のウェブ開催は昨日で終了。

角膜カンファレンスのウェブも明日で終了。

従来の学会は年一回、週末の3日間くらいで集中して行われていましたから、現地に行くことができる日と、開催されている講演内容を吟味して、優先順位の中から選択せざるを得ませんでしたが、ウェブ開催では同時間帯の講演でも後で視聴でき、知識の共有という面では、旧い世代からすると、VTR、video tape recorderが出現してリアルタイムにtelevision、受像器に張り付いている必要がなくなったようなパラダイムシフトだと思います。

手術学会の講演、白内障手術関連では、当院で少し前に導入した検査機器のアルゴスが理論上、最も精度が高く、眼内レンズ計算式は従来からのSRK-T式が主流ですが、眼球が大きすぎる(強度近視)、小さい(遠視)場合にはBarret式やKane式が良いとの発表でした。

当院でも使用しているレーザー白内障手術装置を使用した白内障手術は米国では普及してきていますが、日本では保険診療との両立が難しく、医療の日米間の格差がこの10年くらいでかなり拡がりつつあります。

白内障手術におけるレーザーの立ち位置は十数年前に議論された、レーシック治療で角膜表層を切開する機器で金属製の刃物(マイクロケラトーム)とフェムトセカンドレーザーと同じような状況だと思っています。

その当時は慣れた術者が使用すればマイクロケラトームでも十分に良い結果が得られる、レーザーは余分にコストがかかるなど、主にはコスト面からレーザーの普及を疑問視する意見の方が多かったのですが、現在は国内外を問わず、ほとんどのレーシック治療でフェムトセカンドレーザーが使用されています。

レーシック治療は自費診療ですが、マイクロケラトームの方がコスト面で優位であっても、術者の技量に依存する部分が大きいこと、機器の性能の限界から、有意にフェムトセカンドレーザーの方が結果が良いため、レーシック治療におけるマイクロケラトームは淘汰されてしまいました。

白内障手術の大多数は保険診療ですから、そのメリットの方が圧倒的に大きい国民皆保険制度を維持するためには経済成長などで財源が大きくならない限り、かつての高度成長期とは異なり、治療技術の進歩とは別に、限られた財源のなかでやりくりして行く必要があります。

そうした事情はありますが、技術面の優位性から、金属製の刃物ではなくレーザーが、また、顕微鏡ではなく、HUS(Head Up Surgery)は今後、眼科治療では普及して行くのではないかと思います。