高眼圧症の原因
眼科を受診した際に、眼圧が高い、と言われてしまう方がいます。
日本人の眼圧の正常値は10〜20mmHgと言われるのですが、本日、受診された方の初診時の眼圧測定値は右24mmHg,左20mmHgでした。
この方はたまたま結膜炎で受診されていたのですが、以前から眼科を受診するたびに眼圧の高さを指摘されていましたが、視野検査等をしても特に異常はなし。
そこで、
角膜の厚みを測定すると、右目が570ミクロン、左目が563ミクロンで、日本人の平均値の520ミクロンよりも厚め。
眼圧は原理的には角膜に空気を当てて、その跳ね返りの値を測定したり、器具を角膜に当てたりして測定するのですが、実はこの測定方法では、角膜の厚みによって誤差が生じてしまいます。
角膜が生まれつき薄めのかたですと、角膜の剛性は低めになるので、眼圧測定時の空気の跳ね返りは低めになり、眼圧測定値は下振れし、角膜が厚い場合には測定値は上振れします。
実際に、この方の角膜の厚みを元にして眼圧測定してみたら、
右目は21mmHg,左目は18mmHgでほぼ正常値でした。
最新の眼圧測定機械の一部には角膜の厚みで眼圧測定値を補正してくれる機能も付いているので、角膜厚を考慮した眼圧測定が可能になってきています。
なお、この方の眼底は、
両眼ともに視神経乳頭、網膜とも正常な状態でした。
この患者さんは眼圧が高いと指摘されることが多い原因が分かって、安心していただけました。