アジア太平洋眼科学会(バンコク)
今日はタイのバンコクで開催されているアジア太平洋眼科学会に参加してきました。
日本からは深夜便が出ているので、日帰りで参加できます。
朝8時からのシンポジウムから参加。
糖尿病網膜症に代表される、網膜が腫れて視力低下をきたす病気(黄斑浮腫)には薬剤の眼内注射(硝子体注射)がとても有効です。
薬剤にはいくつか種類があるのですが、その代表的なのが、アイリーアとルセンティスで、分子構造などの違いから、効果も多少、異なります。
今回のシンポジウムでは、早期の段階から、半年に一度は注射をしておけば、長期的に注射回数を減らすことができる、という報告もありましたが、自覚症状が少ない段階からはなかなか難しそうです。。。
アイリーアとルセンティス、その他の薬剤の比較では、両者が他の薬剤と比較して効果は優れていて、2年目までの結果では、アイリーアが上回り、それ以降は同等、という結果が出ています。
当院でも硝子体注射を行なっていますが、即効性が期待できるアイリーアを使うことが多いです。
午前中は主に白内障手術関係の講演に参加。
最近では白内障手術は治療の負担が軽減していることから、両眼同日に手術するクリニックも増えてきています。
ただ、その場合でも、通常は右目→左目、というように、片眼ずつ行うのですが、世界初?の両眼同時手術が発表されていました。
まさに言葉通り、右目と左目、異なる術者が顕微鏡2台、機械も別々で、同じ人間の両眼を行なっていました。
セッティングの手間を考えると、片眼ずつと時間的には大差なさそうですが、することに意味があるのでしょうか。。。
白内障手術で使用される眼内レンズの最新データなどもとても勉強になりました。
レーザーを使って眼内レンズの形状を変化させる技術、従来の眼内レンズでは対応できなかった、非対称性の乱視など、よりオーダーメイドができるようになるはずなので、とても期待したい技術です。
エルサルバドルでトライアルとして治療がスタートしています。
とりあえずは、紫外線で眼内レンズの形状を変化させる技術のほうがすでに臨床での実施も進んでいて、長期的な安定性もデータとして出てきているので、こちらの方が先に、利用できるようになりそうです。
その他、日本国内にはまだ入ってきていない、いくつかの多焦点眼内レンズのことも勉強になりました。
結局、空港から会場までタクシーで往復したのみで、22時過ぎには日本に帰ってきたので、普段の診療の日と時間的な過ごし方は大差ありませんでしたが、良い勉強になりました。