岐阜県内の眼科施設分布調査 〜第34回日本白内障屈折矯正手術学会@京都〜
日曜日は京都で開催されている白内障屈折矯正手術学会に参加してきました。
限られた時間内での参加でしたから、前日まで参加迷っていましたが、当院で使用しているクロスリンキングの機器の開発者が、来日しているので会いたいとのメールがあり、それもあって参加を決めました。
白内障手術時のトラブルシューティングなどの講義もありましたが、興味深かったのが、岐阜県を対象にした眼科施設の分布調査の講演発表です。
国の財政からはトータルでの医療費の増加が限界があり、限られた財源の中で、各治療にかけられる医療費はさらに細分化されていくことは避けられません。
白内障手術にかけられる国の医療費が減少していくと、白内障手術の症例数が少ないクリニックでは採算がとれなくなるので、手術をやめる眼科は徐々に増えていきます。
その場合、白内障手術を継続して行っていくことができるかどうかのひとつの採算ラインともいわれている年間500件以上のクリニックがどの程度あるのか、また、白内障手術を行っているクリニックが少なくなっていく将来、どの程度、施設が偏在していくかのシュミレーションがなされていました。
岐阜県の現在の人口は約200万人、わずかにですが、減ってきています。
65歳以上の人口比率は28.1 %で全国平均よりやや多め。
岐阜県内の眼科施設数は164で、人口あたりの眼科医数は全国平均くらいです。
164施設中、白内障手術を実施しているのは88施設で、そのうち、年間500件以上の白内障手術を行っているのは10施設になります。
眼科医が全くいない町村は中濃で6箇所、西濃で2箇所、飛騨で1箇所です。
これから先、白内障手術の保険点数が少なくなるにつれて、白内障手術を行う施設は減少していくことが予想されています。
県内各エリアごとの現状や今後の予測が発表されており、岐阜市内を含んだエリアはまだ大丈夫ですが、エリアによっては現在、今後の白内障手術を実施している眼科へのアクセスがさらに困難になることも予想される結果でした。
短期的には地域医療に貢献していくことがクリニックとしての大切な役割だと思っていますが、より長い目でみて、眼科へのアクセスが困難になってくる方々への対応もしっかりと考えて、実践していかないといけないと、改めて考えさせられました。