第8回日本涙道・涙液学会総会@京都 | 柳津あおやま眼科クリニック

柳津あおやま眼科クリニック
柳津あおやま眼科クリニック

当院からのお知らせ

第8回日本涙道・涙液学会総会@京都

更新日:2019年07月07日

後でこの記事を読むなら、はてなブックマークが便利です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

先週の白内障屈折矯正手術学会に引き続き、涙道・涙液学会で京都に行ってきました。

主たる目的は、涙囊鼻腔吻合術(DCR)のスキルトランスファーコースへの参加です。

ある程度の涙道手術経験がある術者に限られた3名限定のコースで、参加者一人にトレーナーのドクターをはじめとして様々なスタッフ、機器を用意していただき、とても贅沢な時間を過ごすことができました。

事前に何十回も画像などでシミュレーションをしていたので、実技は比較的スムーズに進み、いろいろと聞いておきたい質問もできました。

基本的なことも含めた備忘録ですが、

・DCR、鼻内法で出来ない症例は無いので、涙小管断裂などを除いて鼻外法で行うことはほぼ無い。

・麻酔でボスミン、キシロカインの1:4を染み込ませたガーゼを挿入、効いてくるまでの間に鼻毛を処理。鼻毛処理は事前に患者さんもしくは看護師さんにお願いすることもあり、処理は一般的な器具で。口腔内への液体侵入阻止のためにガーゼを挿入、局所麻酔の場合にはあまり奥まで挿入しないように、ガーゼは大きめで(小さいと落下)。

・鉤状突起を切除。鉤で引くだけで鉤状突起の軟骨は容易に折れる。篩骨胞の粘膜が露出される。鼻堤部の骨膜下に麻酔、それにより粘膜と骨を液性剥離して、下方から粘膜を切除、骨を露出させる。

・粘膜を過剰に切除しないように(治癒が遅れるので)。涙点からライトガイドを挿入することで、涙囊の上部は透けて見えるが、下方は分かりにくい。鼻内の照明を落とすとざっくり分かる。

・助手にライトガイドで涙囊内方から押してもらいながらスリットナイフで切開すると深く切りすぎて眼窩内の脂肪脱出を起こしにくい。切開は涙囊上部(内総涙点)から。縦切開の後、横方向に切開、花弁状に開く。それだけでも良いが、再発防止に外壁の骨を粘膜を切除し過ぎないように大きく開窓。あとは涙点からNSチューブを挿入。リンデロンを浸透させたガーゼを留置(場合によってはタリビットも用いるが、感染は起きにくい)。

・骨切除は新しい機器は3万回転対応、よく切れるが旧来の1万2千回転のものもゆっくり切除できる利点。新しい機器で機械設定で回転数を最初は低めに設定すれば良いか。

・術翌日、翌々日に再診、翌々日に留置したガーゼを除去。あとは1週間目、それから2週間後、徐々に間隔をあける。

・1週間内服。クラリス、フェキソフェナジン、ムコダイン1日2回。

・1年を超えての再発は少ない(ない?)ので、1年目まで経過観察。

・再発率2%。左右差なし。

・(ポスター展示)緑膿菌感染では再発多い、どの条件で感染起こるかは予測困難。

・副鼻腔炎がある場合には同時に治療。

・Storzよりハンダヤの機器の方が器具が重いが、安価。

・止血、モノポーラーで。Ellemanを使用。粘膜の止血は多少パワー高くても良い。

・涙洗で粘液が出てくる場合には総鼻涙管が閉塞している可能性高いので、DCRの良い適応。