白内障手術と認知症
人間は情報の9割を目から、残りの1割を耳から得ていると言われますが、多くの情報を得ている目が何らかの原因で障害されると、得られる情報量のかなり少なくなり、認知機能の低下が早まる可能性があります。
逆に、目の障害が改善されると、視覚情報が増えて脳が刺激されるため、白内障を治療すると認知症の症状が改善することが分かっています。
先日、手術を受けられた80代の方。
白内障で視力は右眼が指数弁(目の前の手の形がようやく分かる程度)、左眼が0.03。
目の前の人物の輪郭が何とか分かるかどうかで、見えづらいため、ご自身での歩行での移動が困難な状態でした。
白内障も相当に進んでいましたから、安全のためにレーザーを使用。
手術後約1週間。
室内での生活を考えて、目の前の食べているものやテレビが裸眼で見ることができるくらいの度数の近視を残しての治療を行い、視力は右眼が0.1(0.6)、左眼が0.3(0.5)で治療前よりは大幅に視力が向上していました(レーザーを使用したために角膜内皮細胞もほとんど減りませんでした)。
診察室の前でご家族の方と治療前は見ることができなかった女性誌をご一緒に見てらっしゃったのが印象的でした。